WE LOVE LEATHER
     
   

Vol.004
革ができるまで

その1

今回の「WE LOVE LEATHER」は、
革がハンドバッグなどの製品になるまでの製革工程例
「水漬け〜脱灰・酵解」をご紹介します。

原皮
 牛皮、馬皮、羊皮、山羊革、豚皮などのほかに、ハ虫類や両生類の皮を利用します。
 一般に成牛皮、馬皮などのように、25ポンド以上ある厚くて大きく重い皮は「ハイド」、子牛皮、羊皮などのように、薄くて小さく、軽い皮を「スキン」と区別しています。
 原皮は国内産の地生(ぢなま:注1)を除き、通常腐敗を防ぐため、塩漬け、または乾燥、さらには半鞣し革の処理をして、米国を中心にして諸外国から輸入されます。豚皮以外は8割くらいが輸入された原皮です。
↓  
(1)(1)水漬け
 皮に付着している血液や汚物などを取り除き、脱水された水分を補い、生皮の状態に戻します。後の薬品処理をスムーズに行うのに重要な工程です。
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(2)(2)裏打ち
 裏打機(フレッシングマシン)で、皮の肉面(裏側)に付属している肉片や脂肪を取り除きます。
↓  
(3)(3)脱毛・石灰漬け
 石灰乳に浸して、アルカリにより皮を膨潤させ、皮のコラーゲン繊維をほぐすと同時に、毛・脂肪・表皮層を分解除去します。皮革独特の柔軟性を与えるのに役立つ工程です。
↓  
(4)(4)分割
 分割機(スプリッティング、バンドナイフマシン)で、皮を所定の厚さに、銀面(表面)側と肉面(床皮)側の二層に分割します。床皮は、床革のほか、食用、工業用、医療用コラーゲン製品として多方面に利用されます。
※鞣し後に分割する場合もあります。
↓  
(5)(5)垢出し
 脱毛、石灰漬けの段階で除去しきれなかった毛根などを取り除き、銀面をきれいにします。垢出機(スカッティングマシン)または銓刃で、圧出除去します。
↓  
(6)(6)再石灰漬け
 石灰乳に再度浸して、アルカリにより皮のコラーゲン繊維のからみをほぐします。ソフト革やスウェード調革には不可欠な工程で、パドルやドラムを使います。
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(7)(7)脱灰・酵解
 脱毛・石灰漬け、再石灰漬けで皮中に残存した石灰を取り除きます。これにより石灰漬裸皮(強アルカリ、pH12以上)を中和し(pH8付近)、鞣し作業(酸性側、pH3)で、鞣剤を浸透しやすくします。
 酵解(ベーチング)とは、タンパク質分割酵素により、不要なタンパク質を分解除去し、銀面をなめらかにする工程です。
↓  
次回につづく  

To be continued...

注1)地生:国内産の牛原皮のことで、飼養管理の状態が良く、輸入された原皮と比べて 銀面の傷は少ない。 >>本文に戻る

『皮革工業新聞』第884号より

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