WE LOVE LEATHER
     
   

Vol.002
皮革の種類

革の加工タイプによる分類

皮革は原料皮の種類によって区分するほかに、

  1. なめし方法による分類
  2. 革の加工タイプによる分類
  3. 仕上げ方法による分類

・・・などがあります。

今回の「WE LOVE LEATHER」は、
『2.革の加工タイプによる分類』についてお話しします。


 大きく分けると、スムース革(Smooth)と起毛革その他に分類されます。スムース革には銀付き革、ガラス張り革など表面が平滑な革、起毛革にはスウェード、ベロア、ヌバックなどケバのあるものがあげられます。

スムース革:銀付き革(Full grain leather)
 天然の革の銀面(表面)を活かしたもので、カゼインおよびラッカー仕上げされるものがほとんどです。ボックスカーフやアニリン革などが代表で、美しい銀面と優れた耐久力、艶のある快適な使用感が特徴です。靴甲革、鞄・袋物用革、ベルト用革、衣料用革、インテリア用革として、圧倒的な人気を得ています。
 古くは銀面をバッフィングしていない染色革を本染めと呼びました。

スムース革:ガラス張り革(Corrected grain leather)
 主として成牛皮を用い、クロム革製造においてなめした革を、平滑なガラス板に貼り付けて乾燥し、銀面をバッフィングし、塗装仕上げをしたものです。堅牢で手入れが簡単なことなどにより、タウンシューズ、学生用靴、鞄などに使用されます。
 現在では国内の生産は少なくなっています。

起毛革:スウェード(Suede)
 革の肉面をバフし、ベルベット状のケバを持つように起毛加工された仕上げ革で、主に子牛皮など小動物皮から作られます。成牛皮のように繊維組織が荒い革をスウェードに仕上げた、ケバのやや長いものをベロア(Velour)と呼んでいますが、商習慣から必ずしも区分されていません。
 靴甲革、ハンドバッグ、衣料などに用いられます。

起毛革:バックスキン(Buckskin)
 本来は鹿皮の銀面を除去し、バフして、スウェードのように仕上げられた革で、極めて柔軟なのが特徴です。

起毛革:ヌバック(Nubuck)
 バックスキンに似ていることにその名が由来しています。スウェードと異なり、銀面をバフしてケバ立て仕上げた革で、スウェードやベロアよりケバが短く、ビロード状をしています。子牛皮、成牛皮やその他の動物皮から作られます。
 スウェードと同様、 靴甲革、ハンドバッグ、衣料などに用いられます。

起毛革:床革(とこがわ、Split leather)
 皮を水平に2層以上に分割して得られた銀面層以外の床皮を原料とした革。作業用手袋用革をはじめ、表面を塗装やラミネート加工し、靴甲革ベルト用革などに広く利用されます。
 また、ベルベット様のケバに仕上げた革を床スウェード、それよりケバの長いベロア様に仕上げたものを床ベロアと呼びます。

その他:エナメル革(Enamelled leather)
 パテントレザー(Patent leather)とも言われます。クロムなめしのカーフ(注1)、キッド(注2)、キップ(注3)、馬革などの表面に、光沢の良く出るウレタンなどの樹脂塗料を施したもの。靴甲革和装草履ハンドバッグなどに使用します。

その他:型押革(Embossing leather)
 革の表面に加熱高圧プレスで型をつけたもので、近年技術的にも多様化し、定番商品となっています。

その他:シュリンク革(Shrink leather)
 縮革とも呼ばれ、薬品を用いて革を縮めたもの。表面にシワを生じさせ、本来の銀面模様を強調した革。鞄、袋物に主として用います。

その他:エルク(Elk leather)
 本来は大鹿の革のことですが、現在ではクロムなめしの牛革を柔らかく揉んだもので、粗めのシボをつけた革のことです。

その他:ナッパ(Nappa leather)
 本来は羊皮、山羊皮を手袋、衣料用革などに仕上げた銀付き革のことです。現在はクロムなめしをした牛皮から作られた、柔軟な衣料革甲革袋物用革もナッパ革ということが多くなっています。

To be continued...

注1)カーフ:生後約6ヶ月以内の小牛皮で、銀面と繊維質が最も細かく最上質のもの。 >>本文に戻る
注2)キッド:仔山羊皮で銀面の細かい最上質のもの。 >>本文に戻る
注3)キップ:生後約1年以内の小牛皮で、カーフよりやや厚手で上質皮。 >>本文に戻る

『皮革工業新聞』第884号より

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